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News Release

2014.12.01

後始末

    教室の床を汚す第1位はなんといっても消しかすであるということに誰も異は唱えないでしょう。衣服から出る綿ぼこりもほうきで簡単に掃き取れますが、床に落ち踏み潰された消しゴムの残骸はしつこくこびりついてしまうことが少なくありません。
    さて、高校3年生は卒業試験のど真ん中、そして明日からは中学生も後期中間試験に入ります。そしてこの試験中が普段の何倍も消しかすが出る時でもあります。床掃除はいつもより丁寧でなければなりません。
    ところで、そんな日の今日の放課後、職員室前の談話コーナーで、感心な場面に遭遇しました。
    先生に教わった後、せっせと問題を解いていた生徒の1人がとった行動です。さっきから書いては消し、書いては消しの繰り返しだったのでしょう、結構な量の消しかすが机の端に寄せられていました。一段落ついたのか、それを片付けようとして、やおらポケットからティッシュを取り出したかと思うと、それを左手に広げ、机の端のわずかに低い位置で構えました。そしてそこに右手の小指の外側面を使って消しかすを掃き入れていきます。そうして最後、全部を受け取ったそのティッシュを巾着のように丸めて傍にあるくず入れに捨てたのです。

    この生徒の何気ないしぐさは庭訓のなせる業なのか、それとも校訓が活きた彼女自身の自己教育の賜物かはわかりませんが、いずれ見事な後始末でした。

    日本人はきれい好きという場面に出会うたび思い出すことがあります。
    高校生だった頃、世界史の先生が教えてくださったこぼれ話でしたが、とても印象に残っている話です。
    1618年(慶長十八年)、伊達政宗公の命を受けて遠くイタリアはバチカンの教皇パオロ五世に謁見し、伊達政宗公の書状を手渡した支倉常長のことです。
    常長は、領内で造船された「サン・ファン・バウチスタ号」を用い、宣教師ソテロとともに太平洋、大西洋を横断してイタリアのヴァチカンへと渡ったのでしたが、時のヨーロッパ人が一行を驚きの目で見たのは、ちょんまげに帯刀、着物姿といういでたちだけではなかった、むしろ、ある行為を見て、大変驚き、感心したというものです。それは、懐紙で鼻をかむという行為だったといいます。
    上流階級こそハンカチを使ってはいたものの、手で鼻をかむのが当たり前だった当時のヨーロッパの人にとって、今で言うティッシュに当たる使い勝手で懐紙を広げて使った日本人に、むしろ先進性と、清潔感、もっと言えば美意識を感じたのでしょう。この評判はまたたく間に広がったという話です。

    ともすると、机上の消しかすを勤勉の証と胸張って、堂々と床に払い落としてしまいがちですが、そっとティッシュを取り出して後始末した生徒の何気ない行いに、すがすがしい思いを抱いたのでした。

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