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News Release

2013.11.29

広島に、忘れ得ぬ人あり

    いよいよ高校2年生が修学旅行に出かけます。今日はその旅行団結団式がもたれました。
    学園の創立100周年を記念して、それまでの京都・奈良という旅行先に加え、広島がプログラムに入りました。世界遺産として日本で最初の登録となった法隆寺をはじめ、奈良・京都には人類が後世に誇るべき文化遺産がたくさんあります。しかしその一方で、この国には後世に深い悲しみと平和の尊さとその自覚を促すヒロシマ原爆ドームという世界遺産もあります。前者に比べて後者のこれは人類の負の遺産と呼ばれますが、白百合生にはこのどちらをも見学させ、体感させ、考えさせたいという願いが、以来、継承されているというわけです。

    さて、あれは今から10何年と前のこと。この修学旅行で、忘れられない人が、筆者にはいます。今回はこの思い出スケッチということで・・・。

    この年、生徒の一人が初日の広島に向かう新幹線の車内で激しい腹痛を訴えました。到着後直ぐに病院へ救急搬送となり、急性の虫垂炎との診断。急遽手術となりました。お蔭様で手術は無事に終わり、連絡したご両親も一安心。翌日には広島まで来てくださることになり、その到着を引率教員の一人である私がお待ちすることとなりました。翌日の夕刻、急ぎ駆けつけてくださったご両親に後をお任せし、すでに京都に向かった旅行団を追う形で広島駅に向かった私でしたが、なんと、駅についてタクシーを降りようとしたところ、財布の入ったサブバッグを病院に忘れてきてしまっていたことに気づいたのです。運転手さんに事情を話し、そのまま病院へUターン。急いで鞄を手にし、待ってもらっていたそのタクシーに再度乗り込んで駅へと向かったのでした。
    さて、その降りる時です。結局病院と駅とを1往復半走ってもらったのですが、運転手さんは最初の料金しか請求されません。いけません駄目ですと言っても、メーターを降ろしていなかったからと仰います。でも、計算は簡単で、1往復半ですから掛ける3倍でと言っても、いらない、いらない、メーターと合わないと会社に叱られるからと言われるのです。「生徒さんよかったね。はよ、お客さん、新幹線に遅れるけ」とせかされながら、しかも財布の中身を見れば、1万円札以外、千円札1枚と小銭しかなく、結局、お言葉に甘えて1700円くらいだったかをお釣りなしで支払ったのでした。
    何度もお礼を申して車を降りました。窓を開け、お元気で!と手を振りながらさっそうと走り去っていくタクシーを目で追いながら、瞬間思いついて、タクシー名をメモに取ったのでしたが、なんと、そこにはTさんの名字を冠した個人タクシーとあったのです。

    帰盛後、T個人タクシーということだけをたよりに調べ、なんとか住所が分かり、せめてもの気持ちと盛岡のりんごをお礼にと送らせてもらいました。
    すると直ぐに先方からも地元の名産品が送られてきたのでしたが、そこには奥様の代筆で丁重な文面のお手紙が添えられてあったのです・・・・・。

    シャイな、忘れ得ぬ人がいて、この季節になると毎年、広島のあの日のことを思い出すのでした。(F)

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