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News Release

2012.12.12

「愛しの文房具」

    下校後のこと。とあるクラスで、クリスマスに向けたステンドグラスの制作の作業を中途にしたままの光景がありました。
    明日、早朝に出てきてこの続きをしようというのだろうか。片付けられていないそれを、よい方に考えてみました。
    切り刻みかけた色セロハン紙とともに、そこにはいくつかの文房具がありました。
    すでに空には冬の星座がきらめく時刻でしたが、夜のしじまという時間は不思議と詩心が沸き起こってくるものです。つい先ほどまで生徒たちが手にしていた文房具たちに、心が引き寄せられました・・・。


    「愛(いと)しの文房具」
                         
    鉛筆はいつも自由だ。
    まっさらな白い紙の上を自在に闊達に走る姿は爽快である。
    そしてその仕事は、くっきりと形となって残る。
    それがなによりの喜びであり、
    明確な自己主張がまぶしいほどだ。
    しかし、自身が尖り過ぎると折れやすいという宿命も持っている。
    自分の中に強さと弱さが背中合わせであることを一番よく知っている鉛筆は、
    少しぐらい丸くなっていないと駄目なんだと、
    自戒をこめて教えてくれる存在でもある。

    消しゴムは自己主張しない。
    自分だけでは何も為さない。
    まっさらな白い紙を前にしても、その存在はなんら価値が無い。
    けれど、図や線や言葉が紙面に描かれた途端から、
    消しゴムは慎重に出番を待つこととなる。
    そして、時にゆっくりと、時に激しく、その任務に当てられることとなるが、
    気がつくと、自身は汚れ、あったはずの体の一部が削がれ落ちている。
    しかも、自身の働きの成果はどこにもなく、
    身を削っての仕事ぶりは、まさに究極の自己犠牲。奉仕の姿そのものである。
    無と化す。それが宿命であり、消しゴムというものの存在なのだ。

    目盛定規は常に冷静で、厳格だ。
    時に他者の仕事ぶりを測り、時に過ちを修正してもくれる。
    曲がったことが嫌いで、他者を助けるその姿は常に真っすぐで一途である。
    いつも決まったとおり、求められた仕事を果たすためだけに存在する。
    実直である。
    頑(かたく)なに使命感に燃える姿が、実に頼もしい。

    コンパスは、自身の仕事は一事と承知している。
    円く、丸く、円を描くこと・・・これが自分のすべてと弁えている。
    自分の立場を理解して、コンパスは拠り所となる中心点をけっして外さない。
    邪な思いの微塵も入ったら描かれないであろう美麗の曲線。
    描かれたのは輪、それとも、和?
    世界はすべて丸く、曲線でできている?
    そんな思いが、ふと過ぎる。
    コンパスは揺るがぬ信念を軸棒に、誇りという二本の足とで今日も働く。

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